
第39回 インターネットショッピングのトラブル
小山:
皆さんこんにちは、生活に密着した法律の問題を取り上げていく「悩み解決!あなたのための身近な法律相談所」。この番組の進行を務めます、小山真理です。そして、法律の問題をわかりやすく解説して下さるのは、新宿区高田馬場にある「みどり法務司法書士事務所」の認定司法書士、鳴海彦光さんです。先生、よろしくお願いします。
鳴海先生:
こんにちは、よろしくお願い致します。
小山:
いよいよ、今年最後の放送となりました。
鳴海先生:
そうですね。私のつたない解説で1年間、どうもありがとうございました。
小山:
いえいえ、先生のわかりやすいお話で、凄く勉強になってますよ。今年最後のテーマですけど、インターネットでのショッピングに関するトラブルなんです。
鳴海先生:
はい。
小山:
Aさんはインターネット上の販売サイトで、コートを購入しました。ところが送られてきたのは2着。代金引換だったので、Aさんはとりあえず、料金は配達の方に支払いました。その後業者に連絡したところ、申し込みが2回あったことが確認されましたが、返品はできないと言います。そういえば、一度申し込みのボタンを押しましたが次の画面に進まなかったので、もう1度押した記憶があります。注文画面には「申し込みボタンは何度も押さないで下さい」と書いてありましたが、返品できないものでしょうか? …ということなんですが。インターネットってパソコンでやりますから、慣れない人にとっては、操作が難しかったりしますよね。
鳴海先生:
そうですね、僕なんかもその部類なんですけどね、インターネットで使い勝手がわからない方なんですね。
小山:
ですよね。ちゃんとできてるのかな? と思いつつ買う方も、結構多いんじゃないかって思いますよね。今回の場合はコートを1着だけ欲しかったのに、2着同じものが来てしまったということなので…。
鳴海先生:
そうですね、2着もいらないでしょうね。
小山:
いらないですよね。今回の例題なんですが、パソコンが苦手な私としては、これは返品できる…といいんですけどね。
鳴海先生:
はい。ケースによっては、小山さんの考えが正しいということもね、言える場合もあります。
小山:
場合もある、と。ちょっと複雑ですね。
鳴海先生:
これを法的に見ますと、1つはね、民法で規定している「錯誤」というものがあるんですね。簡単に言うと「勘違いした」ということです。本当はそういう申し込みをする筈じゃなかったのに、勘違いをして申し込んでしまった…とかね、いわゆる勘違いと思っていただければいいと思います。
小山:
はい。
鳴海先生:
その勘違い、錯誤については、民法では原則として無効という形になっているんですね。すなわち契約が、申し込みが無効だと。だからなかったことにしますよ、と。
小山:
なるほど。
鳴海先生:
ただし、錯誤を全部無効にしちゃったならば、経済的な取引が成り立たなくなりますから。
小山:
確かに、お店側にすると商売が成り立たないですよね。
鳴海先生:
そうですね。ですので、民法の但し書きという規定がありまして、「重過失があった場合には、無効というものは主張できませんよ」という規定をしています。
小山:
お客さんが間違った場合は…?
鳴海先生:
大きな間違い、ですね。
小山:
大きな間違いをしちゃった場合は、契約の無効を主張することはできないと。
鳴海先生:
ええ、勘違いで無効だということは主張できませんよ、と。そうすると、今回の例題では、「申し込みボタンは何度も押さないで下さい」という表示が、確かありましたよね。それを表示しているにもかかわらず押しちゃった。ということは、重大な過失です。
小山:
そうですね。
鳴海先生:
そうすると、先ほどの民法の規定で行けば、無効は主張できない…という結論になるんですけどね。
小山:
ということは、2着着なきゃ。
鳴海先生:
その通りなんですよ、今の小山さんの疑問はね、正しいんですよ。民法の規定から考えると2着着ないといけないのか? と。インターネットの普及でそういう疑問が当然ありますから、そこで平成14年に電子消費者契約法というものができました。その電子消費者契約法によればですね、そういう重過失があっても、原則無効を主張できる…ということになったんですね。
小山:
すると、いわゆるパソコンとかで買った場合は、オッケーなんですか。
鳴海先生:
そうです。
小山:
じゃあ、1着で済むのかな?
鳴海先生:
そうですね。ただし、そこでもまた問題がありまして。重過失の場合、民法の規定によれば無効は主張できないけども、電子消費者契約法ではそういう重過失があってもそれは無効を主張できます…ということでしたよね。インターネットが普及しましたから、一般の消費者を守るということでね。ところがその電子消費者契約法でも、また例外があります。例えばですね、申し込みの意思を確認するような装置…というんですかね、そういうものがあった場合には、無効は主張できません。
小山:
それは、インターネットで買っているときに「コート1着を買う」として進んでいくと、「これでOKですか? 」という最終確認みたいな画面がありますよね。
鳴海先生:
確認画面が出てくるものが、ありますよね。「コート1着、この申し込みでいいですか? 」という、申し込みの意思を確認する画面が出てきますよね。そういうものがあった場合には、電子消費者契約法によっても、無効を主張できない…という形になるんです。
小山:
なるほど、ここで確認しているんですからもう駄目だよ、と。
鳴海先生:
はい。ですから、今回の例題でそういう措置があったのかどうか、これがポイントになると思いますね。
小山:
今回の例題に関しては、なさそうな…。
鳴海先生:
どうもなさそうな感じですけどね。もしないのでしたらね、重過失があったとしても電子消費者契約法によれば、無効を主張できます。無効を主張できるということは、返品できるということですね。
小山:
なるほど。結構いま、今回のAさんに限らずインターネットで買う方はすごく増えてきているし、こういうトラブルってすごく多いと思うんですね。特に、慣れない方とかが「ちょっと私もやってみようかしら」ということも多いと思うんですよ。その場合はきちんと、確認をし過ぎるくらいに確認することがね、大事になってきますよね。
鳴海先生:
はい。
小山:
インターネット時代ならでは、ということになりますね。
鳴海先生:
そうですね。
小山:
鳴海先生がいらっしゃる「みどり法務司法書士事務所」では、電話とメールで相談を受け付けています。相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。電話番号は03−5155−3520、メールアドレスはsodan@midori-js.comです。「悩み解決!あなたのための身近な法律相談所」みどり法務司法書士事務所の認定司法書士、鳴海彦光さんにお話を伺いました。来週もよろしくお願いします。
鳴海先生:
はい、よろしくお願い致します。
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